湿地や草原環境、森林を併せ持つ勇払原野一帯では、これまで約270種の鳥類の記録があり、多くの鳥類が生息しています。また、国内では絶滅の恐れのあるチュウヒやアカモズなどにとっては、数少ない繁殖地の1つとなっており、勇払原野の保全は、これらの種の存続にとっても大きな意味を持っています。
豊かな自然環境を有し、希少種を含む多くの鳥類にとって重要な場所である勇払原野ですが、その自然環境の大部分は法的な保全が十分になされていません。工業専用地域・工業地域である「苫小牧東部地域」に属する部分も多くあることから、日々開発の危機に晒されています。
近年では、希少鳥類の繁殖地や生息地周辺で再生可能エネルギー(太陽光や風力)発電所の計画や建設が進み、大型の工業施設も次々と建設されるなど、勇払原野の豊かな自然環境の存続が危ぶまれています。
化石燃料から再生可能エネルギーへの迅速な転換は、地球温暖化対策のために不可欠です。しかし、再生可能エネルギー開発が自然環境や希少な野生生物に与える影響も全国的に問題になっており、勇払原野も例外ではありません。勇払原野の自然は、同じ「環境問題」の中で、どうすれば自然環境を守りつつ、再生可能エネルギーの導入を進めていけるかを考えるきっかけを私たちに与えてくれます。
「野鳥と風力発電」についての情報