私たちが目指す自然の姿
ウトナイ湖周辺の自然環境保全戦略
~勇払原野の自然を次世代へ~


保全のアプローチ

流域全体を守る「4つのモノサシ」

ウトナイ湖を守る鍵は、注ぎ込む川や森、広がる草原を含めた「流域全体の保全」にあります。
私たちは、それぞれの環境の豊かさを測る指標として、 「シマフクロウ・チュウヒ・タンチョウ・ガンカモ類」を位置づけました。
彼らは広大で豊かな自然環境を必要とするため、その生息地を守ることは、結果として流域の自然全体を守ることになります。

巡り巡って、人の暮らしへ

森に降る雨は、土壌の栄養分を溶かし込んで川を下り、湿原に行きわたりながら海へと流れ、魚介類などの海産物を育てる——。
こうした「森・川・湿原・海」のつながりは、鳥たちの生命を支える土台となるだけでなく、清らかな水源や漁場を育みます。
彼らが暮らせる豊かな自然環境を守ることは、地域ならではの観光資源や産業を守り、私たちの暮らしにも大きな恩恵をもたらします。

4つの指標種
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  • 河畔~森林:シマフクロウ (絶滅危惧IA類)
  • 草原~湿原:チュウヒ (絶滅危惧IB類)
  • 湿原~水辺:タンチョウ (絶滅危惧Ⅱ類)
  • 川や湖  :ガンカモ類 (絶滅危惧種を含む)
流域全体の保全
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  • 命の循環
    森の栄養が海を育て、魚が森に還る
  • 緑の回廊
    緑をつなぎ、生き物の通り道を守る
  • 自然の再生
    湿原を再生し、森を育てる
地域の利益
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  • 清らかで豊富な水源の確保
  • 豊かな漁場や観光資源の維持
  • 持続可能な地域社会の実現

4つの重点ゾーン

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美々川・勇払川上流
ウトナイ湖・勇払弁天沼周辺

生物多様性保全上の重要度が高い4つのエリアを「重点ゾーン」として定めています。 これらを点として守るだけでなく、川や森でつなぎ、生態系としての連続性を回復させます。

チュウヒ
①勇払弁天沼周辺ゾーン
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赤色エリア チュウヒ (絶滅危惧IB類)

【選定理由】
広大な湿原・草原環境が残る重要な繁殖地ですが、開発圧力が強いため。


目指す姿
  • 湿原や草原環境が保全され、チュウヒが毎年安定的に繁殖している。
  • 工業地帯と希少な野鳥の生息地が共存している。
主な状態目標
  • 2030年代初頭には河道内調整地をラムサール条約湿地へ登録。
  • 企業緑地の「自然共生サイト」登録と生態系ネットワークの形成。
タンチョウ
②美々川ゾーン
美々川の風景

緑色エリア タンチョウ (絶滅危惧Ⅱ類)

【選定理由】
ウトナイ湖に注ぐ主要河川。タンチョウの新たな繁殖地としての期待と、上流部の開発懸念があるため。


目指す姿
  • 河川・湿原が保全され、タンチョウが採餌・繁殖に利用している。
  • 河畔林がまとまって維持されている。
主な状態目標
  • 2030年代初頭にはラムサール条約登録範囲の拡張実現。
  • カヌー利用ルールの整備と野生動物との共存。
  • 河川環境の保全と河畔の利用ルールを策定。
シマフクロウ
③勇払川上流ゾーン
勇払川上流

橙色エリア シマフクロウ (絶滅危惧IA類)

【選定理由】
支笏湖からウトナイ湖への重要な水系。シマフクロウの分布拡大経路としての潜在性が高いため。


目指す姿
  • 河畔林が維持され、シマフクロウの分散に利用されている。
  • 堰などで分断された河川の連続性が復元されている。
  • 支笏湖周辺と勇払原野の生態系ネットワークが確保されている。
主な状態目標
  • 2030年代初頭には、河川の自然再生等の改善策が市の戦略に反映されている。
  • 魚道の設置など生息環境の整備が事業化されている。
ガンカモ類
④ウトナイ湖ゾーン
ウトナイ湖

黄色エリア ガンカモ類 (絶滅危惧種を含む)

【選定理由】
マガンやヒシクイ、ハクチョウ類や多くのカモ類が飛来する国際的に重要なラムサール条約湿地。継続的なモニタリングと保全が不可欠な中核エリア。


目指す姿
  • 渡り鳥の中継地機能が維持され、保全体制が継続している。
  • 市民ボランティアとの協働による環境管理が行われている。
主な状態目標
  • 周辺環境(湖沼・湿原・草原)の保全ルールや規制ができている。
  • 市有林が「自然共生サイト」に登録されている。

地域戦略との連携・協働

苫小牧市の生物多様性地域戦略
5つの基本戦略
  • 自然環境の維持・再生
  • 生態系の活用による課題解決
  • 産業・暮らしの活性化
  • 共存する暮らしと文化の継承
  • 自然情報を活用する基盤整備

2050年の将来像

「自然と産業が調和し、
勇払原野の恵みを未来へ紡ぐまち 苫小牧」

私たちの役割
具体的なアクションの実践

市の目標に対し、私たちは具体的な現場活動で貢献します。

  • 重点4ゾーンにおける生息地保全
  • 指標種のモニタリングデータ提供
  • 企業緑地の自然共生サイト化支援

ゾーニングの整合性

私たちの重点ゾーンは、市の戦略における
「Dゾーン(ウトナイ湖勇払原野)」
「Cゾーン(山麓と市街地の中間)」
に位置し、地域全体の保全計画と整合しています。

企業・法人の皆様へ

所有地の保全活用やCSR活動など、ネイチャーポジティブの実現に向けた連携をご提案します。

連携・保全協定の詳細はこちら

詳細データ・関連資料

勇払原野とは

新千歳空港のすぐそばに広がる勇払原野。
位置や、地図、基本的な概要についてはこちら。

地図・概要を見る
勇払原野の野鳥

希少種を含む数多くの野鳥が勇払原野で確認されています。
これまでに確認されている野鳥のリストです。

野鳥リストを見る
現状と課題

勇払原野には多くの課題が残されています。
現状とこれまでの環境変化についてまとめています。

現状と課題を見る
過去の構想書

2006年に策定された旧・保全構想書(PDF)です。
アーカイブとして公開しています。

2006年版を見る

ウトナイ湖サンクチュアリ ネイチャーセンター
〒059-1365
北海道苫小牧市植苗150-3
TEL: 0144-58-2505
mail: utonai@wbsj.org