2015年9月の国連サミットで「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択されました。SDGsにおける17のゴールでは、目標7に再生可能エネルギー等によるクリーンエネルギーへの転換が掲げられ、同時に、目標14と目標15において海域や陸域の生物多様性の保全が掲げられています。
また、2022年に開催された生物多様性条約COP15においては、生物多様性に関する新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。この枠組みでは、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性が損失している現在の状況(ネガティブ)を止め、回復(ポジティブ)へ反転させる「ネイチャーポジティブ」の実現が掲げられ、日本政府も2030年ミッションとして、「2030年ネイチャーポジティブ」を掲げています。
このネイチャーポジティブの達成のためには、自然保護に加えて、社会・経済全体を生物多様性の保全に貢献するよう変革させていくことが必要であり、経済界においても企業活動における生物多様性保全が重要視されています。
このような社会情勢の中、勇払原野で進められている工場等の建設、再生可能エネルギー発電所の設置についても、産官学民が協力して生物多様性保全の面からも一緒に考えていく必要があると私たちは考えます。
開発と自然環境保全が折合う着地点を探る場所、また共存を模索する場所として、勇払原野は全国的にも先進的な場所となるポテンシャルを秘めているのではないでしょうか。
法令による保護地域に指定されていない区域が大部分を占める勇払原野は、OECM(民間保護地域)として活用することで、自然共生サイトへの登録をはじめ国が進める30by30にも貢献できる大きなポテンシャルを秘めています。
※日本野鳥の会は30 by 30アライアンスのコアメンバーとして、30 by 30およびネイチャーポジティブの達成に向けて取り組んでいます。
勇払原野は、希少な野鳥も利用している豊かな自然環境が残る工業地域です。
自然を守りつつ地域産業を継続するために、環境省の自然共生サイトへの登録を含め、土地利用の際に森や湿地、
湖沼、草原環境を残すなど、所有地内に残る自然環境の保全をぜひご検討ください。